今回は、プロジェクトステークスホルダーマネジメントの目的と概要をご説明します。名前だけでは、何をするのか理解しづらいですが、ステークホルダーの関与(関心)具合をコントロールするものです。
早速、目的からご説明します。
ステークスホルダーマネジメントの目的
プロジェクト調達マネジメントの目的は、以下です。
目的
プロジェクト作業に影響を与える可能性のある人、グループ、組織を特定する。あるいはプロジェクトが影響を与える人、グループ、組織を特定する。
そのうえで各関係者の関与期待値を分析・評価し、ステークホルダーからの関与を効果的に引き出すための戦略を策定するもの。
プロジェクトのステークホルダーを特定し、関与の期待を考え、関与効果を期待通り引き出すです。
一点ポイントとして認識して頂きたのは、プロジェクトが影響を与える人もステークホルダーです。プロジェクト「に」だけではありません。
プロジェクトステークスホルダーマネジメントの作業
プロジェクトステークスホルダーマネジメントのプロセスは以下です。
ステークスホルダーの特定 | 立ち上げプロセス群 |
ステークスホルダーエンゲージメント計画 | 計画プロセス群 |
ステークスホルダーエンゲージメントのマネジメント | 実行プロセス群 |
ステークスホルダーエンゲージメントの監視 | 監視・コントロールプロセス群 |
珍しく立ち上げプロセス群にプロセスがあります。それ以外はオーソドックスなプロセスの構成です。
ステークスホルダーの特定
このプロセスは、プロジェクト立ち上げ時に行う作業として、ステークスホルダーの特定し、一覧化します。
実施タイミングがプロジェクト憲章の作成、承認と同時という風でかなり前からはじめる作業です。
プロジェクト憲章では、プロジェクトのビジネス的な目的を定義します。当然ながらそれの作成にはステークスホルダーの協力がかかせません。そのため、実施が非常に速いです。
ステークホルダーの特定という意味では、ツールの技法で「組織内の政治と権力構造を理解すること」があることが特徴です。組織の体系を正しく理解することが求められます。
最終的には、この知恵エリアで一番必要となるステークホルダー登録簿を作成します。これには、ステークホルダーの名前、立場、連絡先、プロジェクトにおける役割をはじめ期待する関与具合などを記載します。
ステークホルダーエンゲージメントの計画
ステークホルダーエンゲージメントの計画は、主にプロジェクトマネジメント計画書の別紙である「ステークホルダーマネジメント計画書」作るためのプロセスです。
エンゲージメントは、関与具合のことです。つまり、前のプロセスで特定したステークホルダーにどう関与してもらうかのマネジメント計画をたてることになります。
このプロセスでは、ステークホルダー関与度評価マトリックスを作ることが進められます。各ステークホルダー事にプロジェクトに対する立場が「不認識」「抵抗」「中立」「支援型」「指導」なのか評価します。
この一覧を整理することで理想とギャップを認識することができます。何事も本来的な期待(理想)を目視できるようにするのは重要です。
アウトプットでは、「ステークホルダーマネジメント計画書」を作成します。また「ステークホルダー登録簿」も必要に応じて更新することになります。
※PMBOOKも「ステークホルダーマネジメント計画書」関連の記載やアバウトです。
ステークホルダーエンゲージメントのマネジメント
各ステークスホルダーをプロジェクトの適切なタイミングで関与させ、適宜ステークスホルダーと調整し、諸々も案件をコミットするのがステークスホルダーのマネジメントです。
基本的には、各ステークスホルダーとコンフリクトマネジメント、交渉、会議などをして調整して進めて行きます。
いわゆる”調整”ということになります。
当然ながら調整するには、ステークスホルダーの一覧、役割、期待などを理解している必要があります。
ステークホルダーエンゲージメントの監視
この知識エリアにも監視はあります。ステークスホルダーの関与具合を監視し、適宜計画を変更するためのプロセスです。
ステークスホルダーの関与が望ましいか、よくないか分析し、修正が必要な場合はステークスホルダーエンゲージメント計画書を変更します。
当然ながら変更する際は、統合変更管理のスキームにのせる必要があります。
補記
今回はわりとアバウトな記載になりました。実はPMBOKでも一番アバウトな記載が多いのです。どうしても組織の文化的要素が強いからではと私は思っています。
しかしながらプロジェクトの規模に応じて、ステークホルダーは増えて行き、ステークホルダーのエンゲージメント計画は重要になりますので、しっかりと意識するようにしましょう。