こんにちは。PMP試験の計算問題を攻略するシリーズの第2回です。今回はEVM分析を取り扱います。一番計算式のパターンが多く、式の名称も覚えづらい問題ですが、結局は四則演算だけです。意外と簡単な問題が多いです。
なお、クリティカルパス法やPMP試験の計算式の概要は、以下の第1回の記事を参考にしてください。
1.そもそもEVM分析とは?
計算式を理解する前のそもそもEVM分析は何かを理解しましょう。EVM分析は Earned Value Management が正式名称です。日本語であれば出来高価値の管理といった風でしょうか。
EVM分析は、計画に対する現状のスケジュールとコストを管理するための方法です。さらに今後予測される費用や、計画通りに完了させるのは計画に対してどのくらいの速度で作業する必要があるのかも計算することが可能です。
2.基礎数値
EVM分析するにあたっての最も重量な基礎数値は以下です。
PV=Planned Value ・・・・ 現在までに割り当てられた計画予算。
EV=Earned Value ・・・・ 現在までに実際に実施した作業の予算額の合計。
AC=Actual Cost ・・・・・実際にかかった費用
例えば3か月間で毎月100万円コストがかかるプロジェクトがあったとします。もし作業が3か月間均等に割られていて、今が2か月目にはいったところだったらPVは100万円です。
これに対して実際の進捗が作業の半分まで完了していれば予算の半分でEVは300万円です。これに対して実際に1か月でかかった費用が120万円の場合は、ACが120万円です。この案件はとても順調です。
3.基礎数値を使った計算
先ほど紹介した基礎数値を使用した計算式をご紹介します。これはEVM計算における基礎です。PMP試験では単純な計算式の他に「この値がプラスであるのは、どういう状況か?」を聞かれますので意味も理解しましょう。
CPI(Cost Performance Index) 計算式:EV/AC
実コストと計画コストの割合を比較。1より大きければ計画内にコストは収まている。
SPI(Schedule Performance Index) 計算式:EV/PV
計画コストと計画予算の割合を比較。1より大きければ作業は順調です。
CV (Cost Variance) 計算式 =EV-AC
これは作業に対する計画予算に対して実際コストを差し引きしています。プラスであれば予算内です。
SVS(chedule Variance) 計算式:EV-PV
これは作業に対する計画予算 に対して計画を差し引きます。プラスであればスケジュールはオンスケです。
4.応用計算
これまでに比べてぐっと複雑になります。同じようなスペルが続いて混乱しますが、基本的に末尾のCは、 Completion で完成時をさします。そして、Eは Estimate と見積もりのことです。このように英語の意味から覚えると計算式が思い出せなくてもある程度は意味から答えを算出可能となります。
BAC( Budget At Completion)
プロジェクト完成までの総予算
EAC( Estimate At Completion ) 計算式:AC+(BAC-EV)/CPI
プロジェクト途中における総コストの再見積もりです。まず残りの計画上のコストを実施のコストと計画コストから算出するCPIでわります。BAC-EVをすることで総予算から現状の進捗に照らし合わせたコスト(計画コスト)を引くことで、残作業に対する予算を算出することがポイント。これに対して実際の生産性を適用させているのです。そして最後に既にかかったコストをプラスすることで想定される総コストを算出させます。
VAC( Variance At Completion) 計算式:BAC-EAC
これは非常に簡単です。予算に対して、実際にかかりそうな費用を引いて、予算超過するか計算する式です。
ETC(Estimate To Completion) 計算式:EAC-AC
これも簡単です。再見積もりした予算(EAC)から実際にかかった費用を引き算して今後かかる費用を算出するものです。
TCPI( To-Complete Performance Index) 計算式:(BAC-EV)/(BAC-AC) or (BAC-EV)/(EAC-AC)
残作業を計画通りに終わらせるためには、どのくらいの生産性で作業する必要があるのか算出します。前者の指揮は、当初計画をベースにしたもの。後者は修正版予算(EAC)をベースにしたものです。この計算が一番複雑です。
まとめ
EVM計算は、計算式が多く暗記も大変ですが、基本的に四則演算のみで計算は簡単ですので確実に点数がとれるようになりましょう。