今回は、プロジェクト品質マネジメントの目的と概要をご説明します。この知識エリアでは、プロジェクトの成果物の品質目標にどのように達して、どのようにチャックするのかマネジメントします。
プロジェクト品質マネジメントの目標
プロジェクト品質マネジメントの目標は、以下です。
目的
プロジェクトの目標を達成するため、プロジェクトとプロダクトの品質要求事項の計画、マネジメント、およびコントロールに関する組織の品質方針を組み込みもの。
冒頭でも説明した通り、プロジェクト成果物の品質に関するコントロールを行うのがこのプロセスです。
プロジェクト品質マネジメントの作業の作業
プロジェクト品質マネジメントの作業は、3つのプロセスから成り立っています。内容とはとてもシンプルなので理解しやすいと思います。
品質マネジメントの計画 | 計画プロセス群 |
品質のマネジメント | 実行プロセス群 |
品質のコントロール | 監視・コントロールプロセス群 |
プロジェクト品質マネジメントを勉強する前に必ず理解しておく必要のある事項がある。それは、「等級」と「品質」の違いです。
「品質」は実現されたパフォーマンや結果であり、「本来備わっている特製の集まりが、要求事項を満たす程度」のことである。
「等級」は、「設計上で意図されるものであり、同一の用途であっても技術的特性が異なる成果物に定められた区分」ことである。
例えばブランドの桃は、ある意味で「ブランドの桃」という等級ともいえる。農家の人は、その等級を満たすために桃を育て収穫する。その収穫された桃がその等級を満たすものなのかどうかが品質となる。
もし求める糖度に満たない桃であれば低品質であるし、期待以上の糖度であれば高品質と言える。(桃の品質は糖度だけではありませんが、例としてです。)
品質マネジメントの計画
品質のマネジメント計画は、プロジェクトマネジメント計画書の別紙である「品質マネジメント計画書」作るためのプロセスです。
このプロセスは、スコープベースラインがインプットとなるため、「プロジェクトスコープマネジメント」のWBS作成プロセスが完了している必要があります。
さらに品質計画を行うには、リスク計画(リスク洗い出し)が重要となることから、「プロジェクトリスクマネジメント」と密接な関係があります。
「品質マネジメント計画書」では、プロジェクトが使用する品質基準、目標、役割と責任などを定義します。
この計画書に基づいてプロジェクトは品質マネジメントを行うことになります。
品質のマネジメント
品質マネジメントは、品質マネジメントを実行するプロセスです。
品質マネジメントを実行することで、将来完成するプロダクトが求められた品質通りにものができることを確認します。
品質マネジメントでは、品質管理として様々なデータ表現を行います。親和図、特製要因図、ヒストグラム、分布図などです。
品質分析を行った結果として問題が見つかった場合は、問題解決のための問題分析や品質改善方法を検討します。
最終的なアウトプットとして品質報告書を作成します。プロジェクト計画書やベースラインに影響を与える問題があった場合は、変更要求を行い統合変更管理の仕組にのっとり品質対策を行います。
精密差と正確差
検査にあたっては、精密差と正確差の言葉の違いを理解する必要があります。
精密さとは、「繰り返し測定された値が集中していて、ばらつきがほとんどないこと」を意味します。
正確さとは、「測定された値が真の値に非常に近いこと」を意味します。
精密=性格ではありません。プロジェクトマネジャーは、この二つのバランスをとりながら品質マネジメントを行う必要があります。
品質のコントロール
品質のコントロールは、作成できたらプロダクトの品質状態を確認するためのプロセスです。完成製品のチェックイメージです。
主な作業は、「品質マネジメント計画書」で定められた基準に従うかチェック(検査)することです。
チェックした製品は、「検証済み成果物」となります。
ここで必ず覚えて欲しいのは、「検証済み成果物」は、スコープコントロールプロセスのインプットになることです。
言うなれば品質のコントロールは、開発現場のチェックであり、スコープコントロールはユーザ(発注元)の品質チェックのプロセスです。この成果物のながれを必ず押さえましょう。
プロジェクト品質マネジメントの作業のコツ
プロジェクト品質マネジメントの学習に当たり近代品質理論を覚えておく必要があります。
ウィリアム・エドワーズ・デミングという人の有名な言葉があります。
名言
失敗の理由の85%は従業員ではなくシステムとプロセスの不備です。経営者の役割は
個人に責任を求めるのではなくプロセスを変えることです。
要する品質の悪い理由の大半はマネジメントに問題があるということです。この考えが近代的な品質の考え方であるので知っておいた方がよいと思います。